採用KPIの設定方法|測定したい10の指標と目標値の決め方
「採用活動を数字で振り返りたいけれど、何を見ればいいのか分からない」
「データは集計しているけど、どこを直せばいいのか見えてこない」
採用を戦略的に行おうと考えていても、このような課題に躓いている採用担当者や経営者の方も多いのではないでしょうか。
このような場合、採用KPIという指標を決めて数字を追うと、採用活動のどこでつまずいているのかが見えてきます。
この記事では、採用KPIの設定方法を4つのステップで紹介します。測定したい10の指標と目標値の決め方まで、中小企業の採用担当者向けに分かりやすく解説します。
「何を数えればいいのか分からない」「自社の採用のどこが弱いのかを一緒に整理してほしい」という方は、ぜひいぬのてにお任せください。

※本記事に記載されている料金、補助金、制度などの情報は、2026年10月時点のものです。最新の情報については各サービスの公式サイトや関係機関にご確認ください。
採用KPIとは?まず押さえたい基本
採用KPIの設定に入る前に、言葉の意味を整理しておきましょう。KPIと、KPIに似た言葉のKGIの2つを押さえておくと、指標選びで迷いにくくなります。
KPIとKGIの違い
KGI(重要目標達成指標)は、採用活動の最終ゴールを表す数字です。たとえば「今年度中に営業職を3名採用する」がKGIにあたります。
KPI(重要業績評価指標)は、ゴールに向かう途中経過を測る数字です。応募数や面接の通過率、内定承諾率などが採用KPIになります。
KGIだけを見ていると、採用できなかったときに原因が分かりません。途中にKPIを置いておけば、応募の段階で足りないのか、内定後に辞退されているのかを切り分けられます。
結果KPIと行動KPI
採用KPIは、大きく結果KPIと行動KPIの2つに分けられます。
結果KPIは候補者の判断が関わるため、担当者の努力だけでは動きません。結果KPIを上げるために何をするかを行動KPIで決めておくと、毎週の動き方が具体的になります。
応募数だけを追うと見落とすこと
採用の数字というと、まず応募数を思い浮かべる方が多いでしょう。ただし、応募数だけで判断すると問題を見落としやすくなります。
たとえば、応募は増えているのに面接に来る人が少ないケースです。応募数の目標は達成していても、これでは採用につながりません。応募から入社までの流れ全体に数字を置くことが大切です。
採用広報(会社の魅力を発信する活動)の効果を測る指標は、こちらの記事で紹介しています。
採用広報の効果測定方法|認知から応募までのKPI設計を解説
採用KPIの設定方法|4つのステップ
ここからは、採用KPIを設定する手順を順に見ていきましょう。ゴールを決めるところから、目標値を置くところまで4つのステップで進めます。
1. ゴール(KGI)を決める
最初に、どの職種で何名を、いつまでに採用するかを決めます。「営業職を3名、来年3月までに」のように、人数と期限をセットにするのがポイントです。
人数だけでなく、入社した人が定着してくれるかも大切なゴールです。余裕があれば「入社1年後も在籍している」といった条件も添えておきましょう。
2. 採用の流れを分解する
次に、応募から入社までの流れを段階に分けます。中途採用なら、応募→書類選考→面接→内定→内定承諾→入社という流れが一般的です。
段階ごとに人数が絞られていく様子を、漏斗(じょうご)に見立てて採用ファネルと呼びます。また、次の段階に進む人の割合を歩留まり(ぶどまり)と呼びます。この歩留まりが、KPIを置く場所になります。
面接が2回ある会社は、1次面接と最終面接を分けて数えましょう。一般的な型に合わせるより、自社の実際の流れに合わせることが大切です。
3. 現状の数字を集める
流れを分けたら、各段階の人数を過去にさかのぼって数えます。直近1年分を目安に、応募数・面接数・内定数・承諾数・入社数を表にまとめましょう。
求人媒体の管理画面や、応募者とのメールの記録から拾える数字も多くあります。きれいなデータでなくても、まずは手元にある記録から数えてみてください。
集めた数字から詰まりを見つける分析は、AIに手伝ってもらう方法もあります。
生成AIで採用データを分析する方法|応募から内定までの詰まりを見つける
4. 重点KPIを選び、目標値を置く
数字がそろったら、どの段階で人が大きく減っているかを確認します。目標値を置くKPIは、全部ではなく詰まっている段階の指標から選びましょう。
何を重点にするかは、会社ごとの課題によって違います。応募が集まらない会社なら、まずは応募数を追います。選考の途中で止まっているなら通過率、内定後に辞退が多いなら内定承諾率が重点です。
目標値は、集めた自社の実績を基準に置きます。過去の実績がない場合は、まず2〜3か月分の数字を記録し、それをもとに仮の目標を置けば十分です。
一度置いた目標は、固定しないことも大切です。重点の課題が解消すれば、次に追うKPIも目標値も変わっていきます。
「何から数えればいいか分からない」「自社の採用のどこにKPIを置けばいいか相談したい」という方は、ぜひいぬのてにお任せください。

採用KPIで測定したい10の指標
採用KPIとして測定したい指標を、応募から入社後までの段階に沿って10個紹介します。どの段階でどの数字を見るのかを、まずは全体像でつかんでおきましょう。

各指標の計算式と、見る頻度の目安は次のとおりです。見る頻度は公的な基準ではなく、一般的な目安です。
| 指標 | 計算式 | 見る頻度の目安 |
|---|---|---|
| 1. 応募数 | 期間内の応募の件数(媒体別に数える) | 週次 |
| 2. 応募率 | 応募数 ÷ 求人ページの閲覧数 | 週次 |
| 3. 書類選考通過率 | 書類選考の通過数 ÷ 応募数 | 月次 |
| 4. 面接設定率・参加率 | 面接を設定できた数 ÷ 書類選考の通過数/面接に来た数 ÷ 面接を設定した数 | 週次 |
| 5. 面接通過率 | 面接の通過数 ÷ 面接の実施数 | 月次 |
| 6. 選考辞退率 | 選考中に辞退した数 ÷ 選考に進んだ数 | 月次 |
| 7. 内定率 | 内定を出した数 ÷ 応募数 | 月次 |
| 8. 内定承諾率 | 内定を承諾した数 ÷ 内定を出した数 | 月次 |
| 9. 採用単価 | 採用にかかった費用の合計 ÷ 採用人数 | 月次 |
| 10. 定着率(早期離職率) | 一定期間後も在籍している人数 ÷ 入社人数 | 四半期〜半期 |
10個すべてを最初から追う必要はありません。ステップ4で紹介したとおり、詰まっている段階の指標から重点的に見ていきましょう。ここからは、段階ごとに各指標の見方を解説します。
応募段階の指標(応募数・応募率)
応募数は、採用活動の入り口の量を表す数字です。求人媒体ごとに分けて数えると、どこから応募が来ているのかが分かります。
応募率は、求人ページを見た人のうち、実際に応募した人の割合です。閲覧数は多いのに応募率が低い場合は、求人票の内容や応募のしやすさを見直す合図になります。
求人ページの閲覧数や応募率の測り方は、こちらの記事で解説しています。
求人広告の効果測定方法|無料ツールでできるデータ分析の基本
選考段階の指標(通過率・参加率・辞退率)
書類選考通過率は、応募者のうち書類選考を通過した人の割合です。極端に低い場合は、求人票で伝えている内容と、求める人物像がずれている可能性があります。
面接設定率と参加率は、書類選考を通過した人が実際に面接まで進んでいるかを見る指標です。ここが低いときは、連絡の速さや日程調整のやり方を確認してみましょう。
面接通過率は、面接を受けた人のうち次の段階に進んだ人の割合です。選考辞退率は、選考の途中で候補者から辞退された割合を表します。
選考辞退は、選考期間が長いほど起きやすくなります。応募から面接まで、面接から合否連絡までの日数もあわせて記録しておくと、原因を探りやすくなります。
選考期間を縮める方法は、こちらの記事で紹介しています。
採用プロセスを短縮する方法|優秀な人材を逃さないテクニック
内定段階の指標(内定率・内定承諾率)
内定率は、応募者のうち内定を出した人の割合です。採用ファネル全体で、応募が最終的にどれだけ内定につながったかを表します。
内定承諾率は、内定を出した人のうち承諾した人の割合です。ここが低いと、選考にかけた時間と手間が採用に結びつきません。
内定承諾率を上げるフォローの進め方は、こちらの記事が参考になります。
内定辞退を防ぐ方法|辞退が起きる理由と入社までのフォローの進め方
コストと入社後の指標(採用単価・定着率)
採用単価は、採用にかかった費用の合計を採用人数で割った数字です。費用には求人広告費や紹介手数料だけでなく、面接に使った社員の時間などの社内コストも含めて考えます。
媒体ごとに採用単価を出すと、費用に見合った成果が出ている媒体がどれかを比べられます。
採用単価を下げる具体的な方法は、こちらの記事で解説しています。
採用コスト削減の具体策10選|採用単価を下げる方法を中小企業向けに解説
定着率は、入社した人のうち一定期間後も在籍している人の割合です。反対に、一定期間内に辞めた人の割合を早期離職率と呼びます。
採用の成否は、入社した時点では決まりません。入社3か月後や1年後といった区切りで定着率を見ておくと、選考で見直す点の手がかりになります。
目標値の決め方|採用人数から逆算する
目標値を置くときは、ゴールの採用人数から逆算する方法が便利です。採用人数を、各段階の通過率で順に割り戻していきます。
年3名採用の場合の逆算例
ここでは、架空の計算例で流れを確認します。年間3名を採用したい会社で、自社の実績が次のとおりだったとします。
まず、採用3名を内定承諾率50%で割ると、必要な内定数は6名です。次に、内定6名を面接通過率50%で割ると、面接が12名必要になります。
最後に、面接12名を書類選考通過率40%で割ると、必要な応募数は30名です。年間30名なので、月に約2.5名の応募を集める計算になります。

この例では、書類選考を通過した人は全員面接に来るものとして計算しています。実際には、面接の参加率や選考辞退率も掛け合わせて考えましょう。
逆算で出した応募数が今の実績より大幅に多いなら、応募を集める段階が重点です。今の応募数で足りているなら、選考や内定の段階に目を向けましょう。
採用人数が少なくても指標の体系は同じ
「年に1〜2名しか採用しないのに、KPIまで必要なのか」と感じる方もいるでしょう。実際には、採用人数が少なくても採用KPIの体系そのものは変わりません。
違いが出るのは、どの指標に重点を置くかです。応募が足りないのか、選考で止まっているのかによって、重点にするKPIが変わります。これは採用人数の多い会社でも同じです。
注意したいのは、人数が少ないと割合が振れやすいことです。たとえば面接10名中の通過が3名から4名になるだけで、通過率は30%から40%に上がります。割合を見るときは、元の件数もあわせて確認しましょう。
最初に追う採用KPIは「詰まっている場所」で決める
数字を集めたら、次はどこを直すかを決めます。人が大きく減っている段階を見つけて、その段階の指標を重点KPIにしましょう。よくある4つの詰まり方と、最初の一手を紹介します。
応募が集まらない
重点は応募数です。まずは求人票の内容と、掲載している媒体が狙う人材に合っているかを確認します。
応募率もあわせて見ると、原因を絞り込めます。求人ページが見られていないなら露出の問題、見られているのに応募がないなら求人票の内容の問題と考えられます。
応募が来ない原因の探し方は、こちらの記事で詳しく解説しています。
求人に応募が来ない7つの原因|今日からできる改善策を中小企業向けに解説
応募はあるが選考で止まる
重点は、書類選考通過率・面接参加率・選考辞退率です。書類で多く落ちるなら、求人票で伝えている内容と、求める人物像のずれを疑いましょう。
面接に来ない人や選考中の辞退が多い場合は、連絡の速さを確認します。応募から最初の連絡までに何日かかっているかを、まず数えてみてください。
内定を出しても承諾されない
重点は内定承諾率です。内定後の連絡の間隔やフォローの内容、条件の伝え方を振り返りましょう。
面接で自社の魅力を伝えきれていないことも、辞退の原因になります。辞退した候補者から理由を聞けた場合は、記録に残しておくと次の改善に生かせます。
入社しても早く辞めてしまう
重点は定着率です。入社前に伝えていた仕事内容や働き方と、入社後の実際がずれていないかを確認しましょう。
中小企業ほど、定着までをKPIに入れておく意味は大きくなります。厚生労働省の公表では、新規大卒就職者の就職後3年以内の離職率は33.8%でした。
事業所の規模別に見ると、5〜29人の事業所で52.0%、30〜99人で41.9%です。1,000人以上の27.0%と比べると、規模が小さいほど離職率が高い傾向があります。
出典:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)(2025年)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000177553_00010.html
これは新卒採用のデータですが、採用しても定着しなければ、同じ採用をやり直すことになります。入社3か月後や1年後に在籍しているかを、KPIとして記録しておきましょう。
早期離職を防ぐ対策は、こちらの記事でまとめています。
早期離職を防ぐには?|原因と入社前から打てる対策を解説
詰まりが解消したら重点KPIを入れ替える
重点KPIは、一度決めたら終わりではありません。たとえば応募数の課題が解消すると、今度は選考の段階で人が減っていることが見えてきます。
このように、採用活動を進めるうちに詰まる場所は移っていきます。詰まりの場所が変わったら、重点KPIとその目標値も入れ替えましょう。

いちばん人が減っている段階に集中すれば、限られた時間でも改善を進めやすくなります。全部の数字を同時に上げようとしないことが、少人数の採用チームで続けるコツです。
「数字は出したが、どこから直せばいいか判断できない」「重点KPIの選び方をプロに相談したい」という方は、ぜひいぬのてにお任せください。

採用KPIでやりがちな失敗
採用KPIは、置き方や使い方を誤ると、かえって改善の妨げになります。よくある3つの失敗を押さえておきましょう。
指標を増やしすぎる
10個の指標をすべて最初から追おうとすると、集計だけで手一杯になります。数字を出すことが仕事になり、改善まで手が回らないのはよくある失敗です。
記録はできる範囲で残しつつ、目標値を置いて追いかける重点KPIは1〜3個程度に絞りましょう。
数字を達成すること自体が目的になる
KPIは改善のための道具ですが、目標の数字を達成すること自体が目的になってしまうことがあります。
スカウト運用の例で言えば、送信数が足りないからと選定基準を広げて送ると、返信率はかえって下がってしまいます。スカウトとは、企業から候補者に直接声をかける採用手法のことです。
行動KPIの数字を満たしても、結果KPIが下がっては意味がありません。送信数を増やすときは、返信率もあわせて見るようにしましょう。
返信率を下げずにスカウト文を作るコツは、こちらの記事で紹介しています。
ChatGPTでスカウトの返信率を上げる方法|メッセージ設計術を解説
「スカウトを送る相手の選び方に迷っている」「送信数を増やしたら返信率が下がってしまった」という方は、ぜひいぬのてにお任せください。

一度決めた目標を見直さない
最初に置いた目標値は、あくまで仮のものです。実績がたまってくると、高すぎた目標や、すでに達成している目標が出てきます。
目標を見直さずにいると、もう課題ではない数字を追い続けることになります。月に1回は、重点KPIと目標値が今の課題に合っているかを確かめましょう。
採用KPIの運用のコツ|見る頻度と管理方法
指標ごとに見る頻度を変える
すべての指標を同じ頻度で見る必要はありません。応募数や面接の設定状況は動きが早いので、週に1回確認すると対応が遅れずに済みます。
内定承諾率や採用単価は、件数がたまるまで時間がかかるため月に1回で十分です。定着率は、四半期から半期ごとに振り返るのが目安です。
まずはスプレッドシートで始める
KPIの管理に、最初から専用のシステムは必要ありません。ExcelやGoogleスプレッドシートに、月ごとの段階別の人数を記録するだけで始められます。
列に応募数・書類通過数・面接数・内定数・承諾数・入社数を並べ、行に月を並べます。こうしておけば、通過率も計算式で自動で出せます。
応募者が増えて管理が追いつかなくなったら、採用管理システム(ATS)を検討しましょう。
採用ATSとは?|選考管理の抜け漏れをなくすシステムの基本を解説
KPIの数字を毎月の改善につなげる方法は、こちらの記事で解説しています。
採用のPDCAが回らない4つの理由と対策|中小企業でも続く改善サイクルの作り方
採用KPIの設定に関するよくある質問
採用が年1〜2名でもKPIは必要ですか
必要です。採用人数が少なくても、応募から入社までの流れは同じなので、KPIの体系も変わりません。
ただし、人数が少ないと割合は大きく振れやすくなります。割合だけで判断せず、元の件数もあわせて記録しておきましょう。
過去の実績がなくても目標値は置けますか
置けます。まずは2〜3か月分、各段階の人数を記録してみてください。その実績を基準に仮の目標を置き、数字がたまるごとに見直していけば問題ありません。
KPIはいくつまで置けばよいですか
記録する指標と、目標を置いて追う指標を分けて考えましょう。記録は、10個の指標のうち自社で数えられるものをできるだけ残しておくと後で役立ちます。
目標値を置く重点KPIは、今詰まっている段階の1〜3個程度に絞るのがおすすめです。
まとめ
採用KPIは、採用活動のどこが弱いのかを数字で見つけるための道具です。この記事の要点を整理します。
まず最初にやることは、直近1年分の応募数・面接数・内定数・承諾数を数えて、1枚の表にまとめることです。どの段階で人が減っているかが見えれば、最初に追う重点KPIが決まります。
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いぬのて田村
採用課題をWEBマーケティングで解決するいぬのて代表。
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